今月はペットとしても人気の高いウサギについてお送りします。 ウサギにはたくさんの品種がありますが、今回はナキウサギを対象とします。
遙か昔、数千万年前の氷河期の頃から姿を変えずに生きている動物です。 姿が変わっていないので生きた化石とも呼ばれたりもします。 あの氷河期を見事に生き抜いた動物でもあります。 北アメリカやアジア北部、日本では北海道の高い山の岩場などに住んでいます。
多くの動物は冬になると冬眠しますが、ナキウサギは雪が積もっても冬眠せずに活動を続けます。 雪が高く積もるようになると、雪の下にトンネルを掘りそこで活動します。
でも、冬の間は食べ物が無いので秋頃にたくさんの草を集めておきます。 集めたたくさんの草はそのまま巣に入れるのではなく、日光で乾燥させ干し草を作ります。 こうして出来た干し草を冬の間の食べ物としてたくわえるのです。
ナキウサギと言う名前だけあって、このウサギは鳴きます。 それも何となく鳴いたような気がするのではなく、はっきりと聞こえます。 その鳴き声は「キー」とか「ピー」とか金属のような音*1です。
ナキウサギが鳴くのには意味があって、警戒のためといわれています。 なにか敵が近づいて危険が迫ると、鳴いて他の仲間に知らせます。 この他には、(性格が臆病なので)びっくりしたときや仲間と連絡を取り合う時などにも鳴くようです。
*1 一般に金属性の音と言われますが、活字では表現しにくい…。
ペット用のウサギなどのように飼育も出来ます。さすがにペット用品種のようには簡単ではありませんが、 きちんと世話をすれば無理ではありません。 野生では、気温の低い高い山に住んでいるので夏の暑さには弱いようです。
また、自分の出したフンを食べる*2ことがありますが、 これはウサギにとって(ナキウサギだけではなく)普通の行動です。 消化しきれなかった栄養分をとるためにフンを食べて再吸収するのが目的です。
*2 母親のフンを食べて病原菌に対する免疫をつけるという話も聞いたことがあります。
ナキウサギはウサギの原点とも言える品種です(ウサギの祖先という意味ではありません)。 なんせ数千万年間も姿を変えていないんですから。 日本にも住んでいるので、野生のナキウサギを見られることがあるかも知れませんね。
Copyright © 1996-2007 asinus, All rights reserved. |